易経本文
漢字表記日本語の読み方例
蹇、利西南。不利東北。けんは、せいなんによろし。とうほくによろしからず。
蹇は、西南に利ろし。東北に利ろしからず。
利見大人。貞吉。たいじんをみるによろし。ただしければきちなり。
大人を見るに利ろし。貞しければ吉なり。


彖伝
漢字表記日本語の読み方例
彖曰、蹇、難也。たんにいわく、けんは、なんなり。
彖に曰く、蹇は、難なり。
険在前也。けんまえにあるなり。
険前に在るなり。
見険而能止、知矣哉。けんをみてよくとどまる、ちなるかな。
険を見て能く止まる、知なる哉。
蹇利西南、往得中也。けんはせいなんによろしとは、ゆきてちゅうをえればなり。
蹇は西南に利ろしとは、往きて中を得ればなり。
不利東北、其道窮也。とうほくによろしからずとは、そのみちきゅうすればなり。
東北に利ろしからずとは、その道窮すればなり。
利見大人、往有功也。たいじんをみるによろしとは、ゆきてこうあるなり。
大人を見るに利ろしとは、往きて功あるなり。
当位貞吉、以正邦也。くらいにあたりていにしてきちなりとは、もってくにをただすなり。
位に当り貞にして吉なりとは、もって邦を正すなり。
蹇之時用、大矣哉。けんのじよう、おおいなるかな。
蹇の時用、大いなる哉。


象伝
漢字表記日本語の読み方例
象曰、山上有水蹇。しょうにいわく、さんじょうにみずあるはけんなり。
象に曰く、山上に水あるは蹇なり。
君子以反身修徳。くんしもってみにかえりてとくをおさむ。
君子もって身に反りて徳を修む。


出典; ①高田真治・後藤基巳訳(1969) 『易経』(上)(下)岩波文庫(岩波書店)