■ 量子場脳理論


量子場脳理論を簡単に紹介すると以下のようになる。

脳の中には2種類の場が存在する。一つは,水の電気双極子が凝集体となって作る場(電気双極子場)であり,もう一つは脳内の電磁場である。
水の電気双極子場は,細胞骨格や細胞膜のような大きな電気双極子体の近くで凝集体となることによって,大きな電気双極子体に引きずられて,同調して回転するようになり,自発的に回転の自由度を失う。つまり,水の凝集体として,安定して決まった方向にのみ回転するようになる。また,生命がなくなること,つまり死ぬとは水の電気双極子場の回転方向がバラバラになることであることが実験で知られている。記憶の形成は外部刺激により,細胞骨格や細胞膜の形に変形が生じ,それに同調した水の凝集場が作られることと理解される。
場の量子論によると,自発的に自由度が失われた状態(凝集場の状態)に外部からエネルギーが与えられると,元の自由度をを回復するための量子が発生する。この量子は南部・ゴールドストン量子と呼ばれ質量はゼロである。脳内の水の凝集場の場合,この量子はポラリトンと呼ばれている。ポラリトンは理論的には,ゼロでなければ,どんな少ない外部エネルギーでも発生させることができる(質量ゼロのため)。このポラリトンの発生が記憶の連想・想起のプロセスと理解される。
発生したポラリトンは電磁場のゲージ対称性によって,電磁場のベクトル・ポテンシャルに取り込まれてしまい,表面には現れない(場の量子論ではヒッグス・メカニズムと呼ばれている)。また,取り込まれたことにより有限の質量を持つようになる。この量子はエバネッセント光子と呼ばれ,電子の質量の10万分の1の程度の質量である。エバネッセント光子は質量がゼロでないボーズ・アインシュタイン凝集体を構成し,通常の室温レベルでも光子が無限個あつまった凝集体として十分に安定に存在しうる。この凝集体が”意識・心”と理解される。
以上をまとめると,記憶は水の電気双極子凝集体であり,意識・心はエバネッセント光子凝集体である。

以上の説明での最大のポイントは,意識・心はエバネッセント光子凝集体であるということにつきる。これは,臨死体験をした人が,魂が抜け出る瞬間に脳の中を光りが走った,と証言することの裏付けでもあろう。臨死の瞬間にエバネッセント光子凝集体が脳から拡散するのではないだろうか?エバネッセント光子は,電子の質量の10万分の1の程度の質量を持つので,厳密な測定を行えば,臨死の瞬間には体重の減少が見られると考えられる。

今後の課題は,エバネッセント光子凝集体がどのような量子相関(エンタングルメント)を持ち,量子テレポーテーションにどう関わっているのか,というメカニズムの解明である。最近の量子情報処理分野(量子暗号,量子コンピュータ,量子テレポーテーション)の進展は目覚しいものがあり,数十年後には今のインターネットは量子インターネットに代わっているかもしれない。その時には易のメカニズムも同様な観点から理解されているのではないかと考えている。

(2001年11月25日;第二版 Copyright 寒泉)