■ スピンネットワーク
大きな流れはストリング理論 VS ループ量子重力理論
ストリング理論はBlack Hole Entropyを導ける。ただし、摂動理論。
ストリング理論で非摂動理論も最近研究されてきており、M理論と呼ばれる。
ループ量子重力理論もBlack Hole Entropyを導ける。非摂動理論でBF理論。
ループ重力理論はループ変数で記述するが、ループ変数は背景のメトリックに依存しない。
・場の変数として、計量ではなく、自己双対接続で場を記述した。SU(2)の拡張位相空間で は、自己双対で稠密な場は正準変数A,Eを定義できた。(1986、Ashteka)
・Ashteka接続でのWillson LoopがWheeler-DeWitter方程式の解になることが発見された。
・Willson Loopで量子重力のヒルベルト空間の基底が再構築された。(Smolin、Rovelli,1987)ここでは2つの大きな成果が得られた。一つは、微小変換の制約はKnot状態で完全に解決された。第二は、自己交差しないループ上のKnot状態は量子重力の物理的な状態であることが証明されたことである。
・ループ量子重力理論では、面積と体積を量子化でき、離散的な固有値が発見された。(1994、Rovelli,Smolin)
・ループ理論のオーバー完備性がスピンネットワークの導入により解決された。これにより、スピンネットワークを量子重力のヒルベルト空間の基底とすることが定着した。(1995、Smolin、Rovelli,Baez)
・
量子重力理論は格子重力の流れがある。ここで「辺」にリー群の既約表現を対応づけた。
リー群の既約表現とWillson Loopをヒルベルト空間の新しい基底に位置づけた。
「接続」
(1)離散的重力場
英国の著名な数学者であり宇宙物理学者であるSir. Roger Penroseが,1970年頃「自然は,連続ではなく,整数の組み合わせでできているはずだ」という天才的ヒラメキ(信念?)のもとに「スピンの組み合わせにより時空を表す」ことを考え,単純な離散的量子幾何学モデルとしてスピンネットワークの考えを導入して以来,しばらくスピンネットワークの考え方は忘れ去られようとしていた。
しかし,80年代後半に入って,絡み目理論と量子重力理論,絡み目理論とスピンネットワーク理論との関連性が研究されるに従い,「スピンネットワークが時空を作り出す」という考え方が真剣に科学者の間で検討され始めた。そしてついに,1995年,米国の数理物理学者 Lee SmolinとCarlo Rovelliが「スピンネットワークと量子重力」という「重力場」に対する新しい理論を発表するに及んで,スピンネットワークの考え方は再度大きな脚光をあびるに至った。
スピンネットワークが重力理論とどのように関係するのか,という疑問が当然出るので,基本的な考え方をまず整理すると以下のようになる。
スピン幾何学
角運動量合成則をバイノールを用いて表すと,3体相互作用に対するファインマン図式と同様な図式を得ることができる。ペンローズはファインマン図式とのアナロジーを推し進め,いくつかの3価の頂点を非負整数のラベルを持つ線分で繋いだ図式を考え,それをスピンネットワーク(SN)となづけた。そこでは,各線分自体を,その非負整数値の半分のスピンを持つ粒子とみなすことができる。
ラベルを持つ線分
①式は座標系そのものが平行移動する場合を想定した式になっているのだが,座標系は静止して点Pから動かないこととし,中の量子が平行移動した場合
「物質のない空間」である。しかし,我々の住む宇宙は物質で満ち溢れている。そもそも,こういう状態になったこと自体が奇跡的なのだが,もっと不思議なのは宇宙そのものの誕生プロセスである。
(2)スピンネットワーク
(2002年10月14日;第一版 Copyright 寒泉)