■ 易の構造

易では,陰(- -)・陽(-)を表す爻(こう)が6爻集まって卦(か,又は,け) を構成する。陰爻を六(りく)陽爻を九(きゅう)と呼ぶ。陰は柔らかさ・包容力・女性・大地を表し,陽は強さ・発展性・男性・天空を表す。卦は全体で64卦あり, それぞれの卦と卦中の6爻に意味が付けられている。卦の中の爻は,下から上に上 がって数えるのが通例である。最初が陽爻なら初九,陰爻なら初六と呼ぶ。 以降,順次上に上がるにつれて,九二(きゅうじ),六二(りくじ),九三,六三, 九四,六四,九五,六五,上九(じょうきゅう),上六(じょうりく)と呼ぶ。次の卦は井(せい)であり,その爻は以下の通りである。

上六 陰; or 0
九五 陽; or 1
六四 陰; or 0
九三 陽 or 1
九二 陽 or 1
初六 陰 or 0
  井(せい)
爻を3個重ねて卦を作ることができる。便宜的に下爻・中爻・上爻と呼ぶ。これは小成の八卦と呼ばれる。これは以下の表のように表され,それぞれ表中の意味が与えられている。
小成八卦(下・中・上) シンボル 人間 性質 象形
乾(陽・陽・陽) 強い
兌(陽・陽・陰) 少女 悦ぶ
離(陽・陰・陽) 中女 美しい
震(陽・陰・陰) 長男 動く
巽(陰・陽・陽) 長女 入る
坎(陰・陽・陰) 中男 陥る
艮(陰・陰・陽) 長男 止まる
坤(陰・陰・陰) 柔らか

小成の八卦を2個重ねると64卦ができる。これが易の卦全体を構成する。行の小成の八卦は上卦,列の小成の八卦は下卦と呼ばれる。
  下卦

 
乾(01) 履(10) 同人(13) 无妄(25) 姤(44) 訟(06) 遯(33) 否(12)
夬(43) 兌(58) 革(49) 隨(17) 大過(28) 困(47) 咸(31) 萃(45)
大有(14) 睽(38) 離(30) 噬嗑(21) 鼎(50) 未済(64) 旅(56) 晋(35)
大壮(34) 帰妹(54) 豊(55) 震(51) 恒(32) 解(40) 小過(62) 豫(16)
小蓄(09) 中孚(61) 家人(37) 益(42) 巽(57) 渙(59) 漸(53) 観(20)
需(05) 節(60) 既済(63) 屯(03) 井(48) 習坎(29) 蹇(39) 比(08)
大蓄(26) 損(41) 賁(22) 頤(27) 蠱(18) 蒙(04) 艮(52) 剥(23)
泰(11) 臨(19) 明夷(36) 復(24) 升(46) 師(07) 謙(15) 坤(02)
例として,井(せい)の卦の読み方を示す。これは筆者が米国駐在中に急遽帰国することが決まった直後,1999年の4月に得た卦であり,今もって妙に感慨深いものがある。
井は水・風・井(すい・ふう・せい)と読む。易経中48番目の卦である。47番目は困難を表す困,49番目は革命を表す革の卦に挟まって,じっと我慢して自分を深めることを説いた卦である。下から順に陰・陽・陽(風)陰・陽・陰(水)である。井の卦辞は,岩波文庫の易経(高田真治・後藤基自巳訳)によると次のようになる。

”井(せい)は井戸,木を水に入れ水を上げる卦象に取る。邑ー村里のたたずまいには遷り変わりがあっても,村の生活の中心となる井戸はいつまでも変わらないし,また井戸はいくら汲み上げても涸れることはなく,汲まないでいたからとて溢れ出ることもない。往来の人々は誰でも自由に井戸を井戸として利用することが出来る。およそ井戸の効用はこのようであるが,もしこれを汲もうとする者がそのやり方を誤って,たとえばつるべがほとんど水に届きそうなところまで行っていながら,つるべ縄をいっぱいに伸ばしきらぬとか,そのつるべをこわしてしまうようなことでは,せっかくの井戸の効用も発揮されず,凶である。”
初六(風の下の陰):才能が薄く物の役にたたぬこと,たとえて言えば井戸が泥で濁り,飲むに堪えぬようであり,そのような古井戸には鳥さえも水を飲みにおりて来ない。
九二(風の真ん中の陽):才徳が皆無ではないまでも,まだ十分にそれを発揮できる地位ではない。
九三(風の上の陽):才徳は既に備わってはいるが,これを認めて登用してくれる者が現れるのを待たねばならない。
六四(水の下の陰):井戸の石畳も既に手入れができて,人から用いられるのを待つばかりだから咎(とが)はない。
九五(水の真ん中の陽):井戸の水が清く澄み,湧き出る冷たい水が人に飲まれるようになった状態。即ち,人に用いられている状態。(これを寒泉という)
上六(水の上の陰):往来の人々の誰でも自由に利用できる状態。人の期待を裏切らないだけの誠意があれば,大いに吉である。

当時は量子易経の構想はぼんやりあったものの,まだシステム化のやり方は皆目検討がつかなかっため,簡便な方法で易占いを行い,岩波文庫を参照した。易では,卦や爻を読む場合,自分の年齢や地位に応じて読むことができることを参考に,勝手に九二か九三の状態を想定した。これはビックリするくらい自分の境遇と一致してると感じたので,とにかく我慢して自分をより深めるための修養を積むことが肝心と解釈した。これがきっかけになって易経を真剣に研究し始めた次第である。そして目標として九五の寒泉になることを志し,その後は量子易経の開発・普及に精進している。


(2001年11月25日;第二版 Copyright 寒泉)